ビッグ・アルのオーディオアニマトロニクス リサイクル説を検証してみた
はじめまして、ウィリーです。社会人1年生です。
今回は友人であり、ゲームマスターのユーキャンさんに「カンベアドベントに参加しないと爆発する首輪」を装着されてしまったので、この記事を書いています。助けてください。
なにはともあれ、カントリーベア・ジャンボリー50周年という記念すべきこの年にカンベアドベントに参加できますことを大変嬉しく思います。やったぜ!
カンベアにまつわる噂
先述の通り、カントリーベア・ジャンボリーは今年で50周年を迎える老舗アトラクションです。これほど歴史が長くなると、ディズニーファンの間に流布する噂も一つや二つ出てきます。その一つがこちらです。
つまり、ビッグ・アルは毛皮を剥がれて、ズタ袋のオバケとしてホーンテッドマンションに登場している、と言われているわけです。
一部では事実として紹介されているこの説は、私からすると信憑性に欠けると考えます。今回はこの説について、さまざまな側面から検証していきたいと思います。
噂の出どころは
「ビッグ・アルのオーディオアニマトロニクスがウギーブギーにリサイクルされた」という説について触れた最古の情報源は、(私の観測範囲内では、)WDW Radioというディズニーのファンサイトです。記事の公開日は2007年9月14日。記事内には情報源の付記はありません。該当の記事はこちら。
このカントリーベアジャンボリーに関する記事を書いたLou Mongello氏はウォルトディズニーワールドに関するブログや本の執筆、ポッドキャストの配信でとても有名な方です。
Lou Mongello氏に直接記事の内容を問い合わせれば新たな情報が得られそうですが、面倒なことになると嫌なので、今回は状況証拠のみで説の信憑性を探っていきたいと思います。
カントリーベア・ジャンボリーのアニマトロニクスについて
カントリーベア・ジャンボリーは、1971年10月1日にウォルトディズニーワールドのオープニングアトラクションとしてオープンし、その翌年1972年3月4日にカリフォルニアのディズニーランドにもオープンしました。しかし、ディズニーランドのカントリーベア・ジャンボリーは、くまのプーさんのアトラクションに改装するため2001年9月9日にクローズされています。
役目を終えたカントリーベア・ジャンボリーのオーディオアニマトロニクスがその後どうなったのかはわかりません。ウォルト・ディズニー・アーカイブスに保管された、解体されて別のパークのカントリーベア・ジャンボリーにスペアパーツとして送られた、などの可能性が考えられます。
しかし、ディズニーランドでの”Country Bear Vacation Hoedown”(日本での名称はバケーションジャンボリー)に登場したタコのドロレスについては、明確に行き先が判明しています。
彼女はディズニーカリフォルニアアドベンチャーのアトラクション「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:ミッション・ブレイクアウト」内にプロップスとして展示されています。(マーベル公式サイトより)
さらに、ウォルト・ディズニー・アーカイブスの公式インスタグラムでは、“Country Bear Vacation Hoedown”に登場した姿のオスカーが保管されている(されていた?)ことがわかっています。
このような例を参考にすると、現在もカントリーベア・ジャンボリーのオーディオアニマトロニクスはウォルト・ディズニー・アーカイブスに保管されている可能性は十分にあると言えそうです。ビッグ・アルがウーギーブギーのオーディオアニマトロニクスとしてリサイクルされたことも考えられなくはないですね。
ホーンテッドマンション・ホリデーについて
ホーンテッドマンション・ホリデーとは、ディズニーランドのホーンテッドマンションに映画『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』のキャラクターや装飾が施される期間限定イベントです。このイベントは、ディズニーランドのホーンテッドマンションでは2001年10月3日から開始されています。
今回検証しているウーギーブギーのオーディオアニマトロニクスは、2001年のイベント開始時は登場しておらず、2003年から追加されたものです。
カントリーベア・ジャンボリーがクローズしたのは2001年9月9日、ホーンテッドマンション・ホリデーのウーギーブギーが登場したのは2003年10月なので、時期的には矛盾はなさそうです。
ビッグアルとウーギーブギーを比較してみる
ビッグ・アルとウギーブギーのアニマトロニクスを比較してみれば、本当にリサイクルしているのかどうかを見極められるのかもしれません。
まずホーンテッドマンション・ホリデーに登場するウギーブギーをご覧ください。
ウギーブギーのアニマトロニクスは
・頭は上下左右に動く。
・左手は肩関節を外転・内転と外旋・内旋、肘関節を伸展・屈曲できる。
・右手は肩関節を伸展・屈曲のみ行える。(レバーを握っているため)
という特徴があります。
続いてディズニーランドのカントリーベア・ジャンボリーに登場したビッグアルをご覧ください。
ビッグアルのアニマトロニクスは
・頭は上下左右に動く
・右手は手首は掌屈した状態で撓屈・尺屈できる。肩関節と肘関節は固定されている
・左手は肘関節を屈曲・伸展、手首は撓屈・尺屈できる。肩関節は固定されている
という特徴があります
本当にウギーブギーのアニマトロニクスがビッグアルのものと同一なら、動作の特徴も一致するはずですが、比較してみると一致しない点が多く、違うものであると言えそうですね。
オーディオアニマトロニクスの制作者のインタビューについて
基本的にディズニーアトラクションの制作はウォルトディズニーイマジニアリングによって行われます。しかし、ホーンテッドマンション・ホリデーはGarner Holt Productionsという外部の企業がオーディオアニマトロニクスや装飾の制作を担当しています。
ちなみに、Garner Holt Productionsは、カリフォルニアディズニーランドの「ファンタズミック!」のマレフィセントドラゴン、香港ディズニーランドの「ミスティックマナー」、ディズニーカリフォルニアアドベンチャーの「ラジエータースプリングスレーサー」のアニマトロニクスなども手掛けています。公式サイトのポートフォリオをご覧ください。
さて、Garner Holt Productionsの創業者であるGarner Holt氏はTomorrow Society Podcastのインタビュー内で、ホーンテッドマンション・ホリデーの制作についてこのように語っています。(英語偏差値2なので間違ってたら指摘してください)
"I thought wow, this is my opportunity of a lifetime to build animatronics so I gave them a really good number to do it and almost like a breakeven number. And they jumped at it and then did that all the animatronics in that show a lot of the props, the pumpkin mountain, spider tree, all the animatronics, singing plants and all the zeros and teddy bears and all that stuff in that show."
「私はすごい、アニマトロニクスを作るまたと無い機会だと考え、ほとんど利益が出ないほどたくさんのアニマトロニクスを渡しました。彼ら(イマジニアリング)はそれらに飛びつきました。カボチャの山やクモの巣の木といったプロップス、歌う植物やゼロ、テディベアのアニマトロニクスなどショーに登場するもの全てです。」
これは初回のホーンテッドマンション・ホリデーを製作した経験に関して語ったものですが、彼はアトラクションに登場するほとんどのものを手掛けたことを強調しており、ウギーブギーのアニマトロニクスもそれに含まれると考える方が自然です。公式サイトのポートフォリオにウギーブギーのアニマトロニクスが掲載されているのもそれを裏付けています。
2021年12月現在、Garner Holt Productionsの公式ツイッターのヘッダー画像は、ウギーブギーのアニマトロニクスの画像に設定されており、特に自信のある作品だと自負していることがうかがえます。自分たちで作ったものでなければ、ヘッダー画像にはしませんよね...?(誘導尋問)
結論
・明確な情報源がない
・動きの特徴が一致しない
・アニマトロニクスの製作者が自分の作品として紹介している
ということで私の結論としては、こうです。
最後までお読みいただきありがとうございました!良いクリスマスを!